消化酵素・代謝酵素・食物酵素の役割

酵素ドリンクの働きを解説する文章の中に「消化酵素」「代謝酵素」「食物酵素」という言葉を見かけたことはありませんか?

酵素ドリンクのメーカーや販売サイトでよく見かけるこれらの言葉。これらはその分野のパイオニア、エドワード・ハウエル医学博士が提唱した酵素栄養学に基づく酵素の分類法です。

この酵素栄養学は日本でも現役医師をはじめとした多くの支持者を集め、同種の主張をまとめた本がベストセラーにもなっています。海外セレブたちが実践したことでローフードに注目が集まったことも関係していたのでしょうか、

酵素ドリンクメーカーによる酵素の解説も非常に明快で受け入れやすいと感じた消費者が多く、これらの主張が今日の酵素ドリンクブームの一翼を担っていることは間違いありません。

しかしその一方で、酵素栄養学の主張には現代の生物学とは一線を画すところも多々あり、多くの場面で物議を醸しているようです。ここでは酵素栄養学で語られるそれぞれの酵素の役割を解説し、現代の生物学とはどんな点が異なっているのかをまとめてみました。

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もくじ

そもそも酵素って、何?

酵素というのはわたしたちがものを食べ、消化吸収から代謝、排泄に至るあらゆる過程で関わる蛋白質のこと。酵素がなければ食べたものからエネルギーを生み出すことも栄養素を取り込むこともできません。

酵素は体内の口腔、胃、腸などの各器官内で生成されます。ところがこの酵素も年齢とともに、分泌量が減少したり働きが弱まったりすることがわかっています。ある研究によると、25歳前後をピークに、60代になるとそのおよそ3分の1にまで減ってしまうといいます。そうなれば酵素の働きが関わる消化、分解、吸収、代謝など全てに悪影響が出てしまうのは避けられません。

酵素不足の影響によって起こってくると考えられる症状には次のようなものが挙げられます。

・病気でもないのにいつも何かしら体調が良くない
・寝付きが悪く、朝起きたら前日の疲れが残っている
・冷え性でよくむくむ
・蕁麻疹、肌荒れ、ニキビなど肌トラブルを起こしやすい
・以前よりも太りやすくなった
・胃がもたれたり便秘や下痢を繰り返す
・いつも頭が重く、肩こりがよく起こる

こうした不定愁訴が現れるのは年齡のせいばかりではありません。元気で若々しい生活を送るためにはできるだけ酵素の減少を抑えたいところ。それにはどうしたらいいのかというのが、酵素を巡る大きなテーマとなります。

酵素栄養学におけるそれぞれの酵素の役割とは

エドワード・ハウエル博士は人間の体内で働く全ての酵素を潜在酵素と呼び、そこから作られる酵素を消化酵素と代謝酵素の2つに分類しました。そして食べ物の中に含まれている酵素を食物酵素と名付けました。

・潜在酵素(→消化酵素+代謝酵素)
・食物酵素

消化酵素とは

食べ物は単に胃の中に送り込めば体内に吸収されるわけではありません。消化され、分解されて初めて栄養素として吸収され、エネルギーを生み出します。そのために働くのが消化酵素です。デンプンをブドウ糖とマルトースに分解するアミラーゼ(ジアスターゼ)、脂質を脂肪酸とグリセリンに分解するリパーゼ、蛋白質をアミノ酸に分解するプロテアーゼなどがこれにあたります。

代謝酵素とは

消化した食べ物から得られた栄養素を体の隅々に届け、働かせるのが代謝酵素です。各細胞に新陳代謝を起こし、心臓や脳を動かし、体に不要なものは排出する。これらの体内で起こる生命活動全てに代謝酵素が関わっています。

食物酵素とは

消化酵素と代謝酵素が人の体内で作られるのに対して、食物酵素は食べ物の中に存在する酵素です。食べたものの中に食物酵素が含まれていたら、その食物酵素は体内で足らなくなった酵素を補う形で働いてくれる、食物酵素を摂取することで自前の酵素が節約できるというのが酵素栄養学の考え方です。

消化酵素と代謝酵素の関係

酵素栄養学では一生のうちに作られる潜在酵素の量はあらかじめ決まっているとされ、潜在酵素は消化酵素か代謝酵素のどちらかに振り分けられるような形で作られます。潜在酵素が10あるとして、消化酵素が4作られるなら代謝酵素は6、消化酵素が7であれば代謝酵素は3作られるというわけです。

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この消化酵素と代謝酵素は1度使ったら消滅すると考えられています。もし普段から消化の悪い食べ物をたくさん食べていれば消化酵素ばかりがどんどん生成されることになり、代謝酵素に回るべき分が足らなくなってしまう可能性が高くなります。ジャンクフードばかり食べていると代謝が悪くなり、太りやすくなってしまうというわけですね。

しかも限りのある潜在酵素が消化酵素としてどんどん消費されてしまうわけですから、まさに酵素の無駄遣い。酵素栄養学の考え方では酵素は生命を営むためになくてはならない栄養素なので、これが尽きれば生命の終わりです。そこで体内の酵素が尽きないように、酵素の無駄遣いを抑えつつ食物から酵素を補わなければいけません。

食物酵素は主に生の食べ物の中に含まれています。酵素は熱に弱いので、加熱したら死んでしまうからです。酵素を補うために生の食べ物……生野菜や果物、発酵食品などをたくさん摂ることを勧めています。

※酵素ドリンクの場合には、肉や魚に添えられた大根おろしが消化を良くすることを例に挙げ、食物酵素が体内で消化酵素として働くために潜在酵素を代謝酵素に多く回すことができ、代謝を活発化させることができると解説しているメーカーもあります。

酵素栄養学はあくまでも仮説

酵素ドリンクのメーカーの中には、具体的にハウエル博士の名前を出して酵素の働きを解説しているところも見かけられます。が、まず知っておいていただきたいのは、酵素栄養学の源流となった博士の主張はあくまでも仮説にしかすぎないという点です。

酵素栄養学を世に広く知らしめる発端となったのが1985年に出版されたハウエル博士の著書『キラー・フード―あなたの寿命は「酵素」で決まる(原題:ENZYME NUTRITION)』と1994年に出版された『医者も知らない酵素の力(原題:FOOD ENZYMES FOR HEALTH & LONGEVITY)』。というと比較的歴史の浅い研究なのかと思われるかもしれませんが、実際にはこれらの著書は1946年に博士の手で書かれた専門書の内容が元になっています。新たに本を出版するにあたって研究データを新しいものに差し替えるでもなく、70年以上前のものがそのまま掲載されているのですから、現在では否定されてしまう内容も混じってしまっています。

ちなみに日本で出版された『医者も知らない酵素の力』の帯にはハウエル博士を「100歳を超える長寿をみずから実証する食物酵素理論のパイオニア」と紹介していますが、実際にはハウエル博士はこの本が本国アメリカで出版される6年前の1988年に90歳でお亡くなりになっています。長寿であったことは間違いありませんが、単に事実誤認であるならお粗末としか言えません。

ただ、上記は疑問点の本質というよりは枝葉の部分。問題は別のところにあります。

酵素に対する解釈の矛盾

エドワード・ハウエル博士の主張では、体内で働く酵素を消化酵素と代謝酵素の2つに分類しています。しかし実際は、人間の体内に存在する酵素は現在発見されているだけでも4,000ほど。まだ発見されていないものもあるので、最終的には5,000種類に上るのではないかと言われています。酵素はそれぞれが独特で複雑な働きを持っているので、それをたった2つに分類するというのはあまりにも大雑把に過ぎると言えます。

そして食べ物から摂取された酵素が人間の潜在酵素になり、それがその時々の状況によって消化酵素になったり代謝酵素になったりといった現象も、残念ながら現在に至るまで確認されていません。

「第9の栄養素」と呼ばれることもあるように、酵素栄養学では酵素は栄養素の一種と位置づけられていますが、そもそもこれも現代の生化学とは異なっています。食べ物から摂取できるものだから栄養素という発想なのでしょうか、それとも菌類との混同なのでしょうか(酵素が死ぬ、という表現が使われることもよくあるので、後者かもしれません)。

酵素というのはあくまでも生命活動で起こる様々な反応に対して、触媒として機能するものです。加齢などによって分泌量が減ったり機能が衰えたりということは考えられますが、一定量に達したら生成がストップしたりそれが死に繋がったりという事実はありません。また酵素は決して1度の使用で使い捨てされる消耗品ではなく、繰り返し使用することが可能。足らなくなればまた新たに生成されるものなのです。

酵素ドリンクを飲んでも酵素は「補給」できない

ここで問題になるのが、よく見かける「酵素ドリンク(または生の野菜等)で酵素を補給する」という表現です。これではまるで、「酵素ドリンクを飲むことで体内で不足する酵素が補充できるので、代謝が上がって痩せられる」と受け取られてしまいます。

しかし実際には、野菜などに含まれている酵素を摂取したからといって、そのままそれがヒトの酵素に置き換わるわけではないのです。この誤解のしやすさは、「酵素ドリンク」というネーミングによるマジックでもあるのでしょう。

酵素はアミノ酸に分解される

現実には食物中の酵素を摂取したところで、そのままでは分子が大きすぎて体内には吸収できません。それこそ消化が必要になるわけで、蛋白質の一種である酵素はアミノ酸に分解されて初めて吸収されることになるのです。

日本における酵素栄養学の提唱者のひとり新谷弘実博士の主張では、酵素から分解されたアミノ酸には酵素由来であったという記憶が残っているため、消化吸収された後にダイレクトに酵素として再合成されるとのことですが、これに関してはエビデンスがありません。他のアミノ酸と一緒に体の様々な用途に使用され、そのひとつに酵素の生成があるというのが実際のところでしょう。

食物酵素による消化は期待できる?

前述したアミラーゼなどのように、確かに野菜などの中に含まれている酵素もあります。それらのほとんどは消化酵素ですが、それらがわたしたちの消化のお手伝いをしてくれるのは、あくまでも対象となる食材を一緒に食べたときに限られます。

しかしこれだと「酵素ドリンクを、消化するもののない状況を作るファスティングや置き換えダイエットに利用するのはどうなの?」という声も聞こえてきそうですね。

酵素ドリンクに飲む意味はないの?

なんだか酵素ドリンクに対するネガティブな情報ばかりが集まってしまいました。では実際のところ、酵素ドリンクを飲む意味はないのでしょうか。

いいえ、そんなことはありません。それには2つの理由があります。

1.酵素ドリンクは酵素を作る材料になる

体内で働く酵素をそのまま酵素ドリンクから補えれば簡単なのですが、あいにく人の体は複雑、そういうわけにはいかないというのはご紹介したとおりです。ではどうすればいいのかと言えば、少々遠回りにはなりますが、体内で酵素を作る材料になってくれる質のいい栄養素を積極的に摂る。それが酵素ドリンクというわけです。

酵素の材料は蛋白質ですが、蛋白質(酵素)だけ摂取していれば酵素が作られるわけではありません。たくさんのビタミンやミネラルなどが関わって、初めて酵素は作られます。

その点、酵素ドリンクは非常に多くの原材料が用いられているので、幅広い栄養素を一度に摂取することができます。さらには原材料を長期にわたって発酵、熟成させているため、生野菜のサラダなどと比べて消化がいいうえ、栄養素は何倍にも凝縮されています。同じ材料をそのまま食べるよりも遙かに効率よく、スムーズに酵素の材料になってくれるわけです。

2.植物のエキスが美容と健康に役立つ

「酵素ドリンク」という名前なのでどうしても酵素に注目されてしまいますが、むしろ植物のエキスこそが酵素ドリンクの本来の力の源と言っても過言ではありません。

特にこれまで野菜を十分に摂れていなかった方、栄養バランスが良くなかった方には、そのメリットが便秘や肌状態の改善、ダイエットなどに覿面に現れることも少なくないでしょう。

<おわりに>
低カロリーで栄養豊富な酵素ドリンクはファスティングや置き換えダイエットを続けやすく、健康的なものにしてくれます。それだけに、広告の中に頻繁に登場する紛らわしい表現が酵素ドリンクをグレーなものに見せてしまうのはきわめて残念なことだと言わざるを得ません。

酵素ドリンクを選ぶ際には、中に含まれる食物酵素がそのまま体内の消化酵素や代謝酵素の穴埋めをしてくれるわけではないという点は考慮しつつ、それでもなお余りある植物のパワーを、ぜひあなたの美容と健康に活かしてください。

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